2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J04145
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原 聡亮 千葉大学, 大学院・医学薬学府, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 環状デプシペプチド / 構造異常アミノ酸 / 抗炎症活性 / 有機合成化学 / ハリペプチン / 全合成 / 触媒的不斉合成 / キラル双環状ラクタム |
Research Abstract |
ハリペプチン類は海綿由来の強力な抗炎症活性を有する環状デプシペプチドである。これまでに抗炎症活性を有する環状デプシペプチド類の例は数少ないことから、本化合物は従来にない新しいタイプの抗炎症薬へのリード化合物として、また生体内での炎症の発生メカニズムを解明するための分子プローブとして大きな可能性を秘めているといえる。また、本化合物中にはN-メチル-5-ヒドロキシイソロイシンといった構造異常アミノ酸残基や多置換の新規脂肪酸が含まれており、有機合成化学的にも興味深い構造を有している。これらのことからハリペプチン類を化学的に合成し、構造活性相関を調べることは大変意義深いと考え、本化合物の全合成研究を行なった。 今年度までにハリペプチンAの不斉全合成を達成した。ハリペプチンAの構成成分の合成には、キラルボラン試薬を用いた不斉アルドール反応、プロリンを触媒とした酸化反応、およびキラル双環状ラクタムを利用した立体選択的なマイケル反応を鍵反応として用いた。また、環状部分の構築に際しては、シアン化銀を用いたラセミ化を伴わないエステル化反応、縮合剤BMTB、酸塩化物法を利用し、最後の閉環は縮合剤HATUを用いて行なった。さらに本合成研究の過程においてハリペプチンAに含まれるチアゾリン環に隣接するメチル基の立体化学が、離れた位置で行われる閉環反応の反応性に影響を与えるという興味深い知見を見出した。今回の全合成達成がハリペプチンAの各種類縁体合成への足がかりとなり、構造活性相関の解明、さらにはより強力な活性をもつアナログの創出につながることが期待される。
|
Research Products
(1 results)