2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J04145
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原 聡亮 千葉大学, 大学院医学薬学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 環状デプシペプチド / 構造異常アミノ酸 / ハリペプチン / パプアミド / 抗HIV活性 / 全合成 / 触媒的不斉合成 / 抗炎症活性 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、強力な抗炎症活性を有する環状デプシペプチドであるハリペプチン類の全合成研究を行った。昨年度までにハリペプチンAの全合成は完了したが、その際合成上の問題点として側鎖脂肪酸の水酸基に対するアラニンの導入が残っていた。この部分は非常に立体障害が大きい場所であり、通常の縮合剤を用いた条件ではアラニンのエピメリ化が問題となった。当初はシアン化銀存在下における酸塩化物法を適用することによってアラニンのエピメリ化は回避できたものの、その収率には依然として問題を残していた。そこで立体障害の小さな1級水酸基にアラニンを導入しておき、これを縮合剤EDCI存在下トリフルオロ酢酸で処理することによって、より立体障害が大きな2級の水酸基へと高収率かつエピメリ化を伴うことなく転位させることに成功した。この方法は本系のみならず、立体障害が大きい水酸基を有する1,3-ジオールへの新規エステル化反応として応用されることが期待でき、非常に意義深いと考えられる。さらにこの方法を適用することによって、ハリペプチン類縁体のひとつであるハリペプチンCの全合成も達成した。今後は残る類縁体の合成も完了することでハリペプチン類が有する抗炎症活性に関する構造活性相関の解明や、さらに強力な活性を有するアナログの創出が期待される。 パプアミド類はハリペプチン類よりも複雑な構造を有する環状デプシペプチドで、強力な抗HIV作用などの興味深い生物活性を有している。今年度までにパプアミド類の構成成分であり、その相対および立体化学が不明である新規長鎖脂肪酸Dhtdaについて理論上存在する全8種類の異性体の合成を完了した。今後はすでに合成が完了している環状デプシペプチド部分と側鎖アミノ酸、および今回合成したDhtda部分とのカップリングを経て、パプアミドBの全合成を達成するとともにDhtdaの立体化学を決定する予定である。
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Research Products
(1 results)