2005 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1プロテアーゼにおける阻害剤耐性機構の解明および新規阻害剤の創製
Project/Area Number |
05J04147
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大出 裕高 千葉大学, 大学院・医学薬学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | HIV-1プロテアーゼ / 薬剤耐性 / プロテアーゼ阻害薬 / 変異 |
Research Abstract |
平成17年度において、私はHIV-1プロテアーゼのL90M変異による阻害薬耐性機構ついて詳細な解析を行った。L90Mは、HIV-1プロテアーゼのactive siteの外側(non-active site)で生じる変異であるが、複数のプロテアーゼ阻害薬に対し耐性を示す他剤耐性変異として知られている。私は、L90M変異による耐性機構を解明するため、分子動力学法を適用し、コンピューター上でL90M変異プロテアーゼ・阻害薬複合体の構造を予測した。阻害薬として、最もL90Mによる耐性に関係深いSQVおよびNFV、逆にL90M変異ひとつだけでは耐性を示さないLPVを用いた。さらに、プロテアーゼの基質のひとつであるPRRTとL90M変異プロテアーゼ複合体の構造予測も同時行った。これらのL90Mプロテアーゼ・阻害薬複合体とWild typeプロテアーゼ・阻害薬複合体の構造を比較することにより、L90Mによる阻害薬耐性機構の解明を行った。解析の結果、L90M変異は、SQVまたはNFVと結合する際、active siteでの構造変化、特にflap領域や80sループにおける構造変化を引き起こすことにより耐性を示すことが分かった。この構造変化は、non-active siteでの90M側鎖と25D主鎖間の相互作用変化が、active siteでの25D側鎖の移動および84I側鎖の回転により生じたものであった。一方、LPVやPRRTが結合したL90M変異プロテアーゼでは、これらの構造変化が見られなかった。このことから、25Dと相互作用する阻害薬のP1/P1'部位の構造が大きくL90Mの耐性に関与することも示唆した。
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