2005 Fiscal Year Annual Research Report
異なる作用を持つ2系統のWolbachia重複感染:その相互作用と宿主との共進化
Project/Area Number |
05J04151
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鹿島 聡子 (成田 聡子) 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 共生微生物 / Wolbachia / 雌性化 / 分子生物学 / 分子系統学 |
Research Abstract |
1.重複感染個体の野外頻度調査と数理的解析 種子島で、重複感染キチョウの野外頻度、野外の性比、重複個体のメス化の確認、メス化された集団の年次変動を調査し、Wolbachiaと宿主(キチョウ)の相互作用について明らかにする。去年は3回種子島で調査を行った。種子島では重複感染個体(雌化個体)が増えすぎてオス不足になり、キチョウの集団サイズがとても小さくなっていると考えられた。また、種子島個体群の体サイズが小さくなっているのだとしたら、近親交配の可能性も疑われる。そこでオス不足、集団サイズの減少、それに伴う近親交配の可能性を検証するためアロザイム多型解析によるホモ接合率の実験を現在行っている。野外頻度調査は今年も継続予定。 2.幼虫期のテトラサイクリン処理によるintersex(間性)個体の出現 重複感染している母親から次世代をとり抗生物質を与える時期を各幼虫段階にわけて個別飼育し、生存率、羽化率、intersexの程度(外部形態観察、内部生殖器・外部生殖器の観察)を調べた。幼虫初期から抗生物質を与えられた個体は体内のWolbachiaの濃度が下がりメス化の効果が弱くなり、オス形態、内部生殖器、外部生殖器すべてがオスに戻ろうとした。しかし、艀化直後からWolbachiaの密度を下げても完全なオスが出現しなかったことから、Wolbachiaは胚発生の時にすでに各細胞をメスに決定させているが、その後抗生物質処理によりすべての発育段階でメス特異的なスプライシングを行わせる力が弱まっていると思われる。つまり、Wolbachiaはdoublesex遺伝子など性決定の下流の遺伝子に影響を与えメス化させている可能性あることがわかった。 ---投稿準備中
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Research Products
(2 results)