2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機合成手法を基にした新規蛋白質検出法の開発および蛋白質プロファイリングへの応用
Project/Area Number |
05J04174
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清水 忠 The Institute of Physical and Chemical Research, 袖岡有機合成化学研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | インドリルマレイミド / 細胞死 / ネクローシス / 蛍光標識化合物 / 光親和性プローブ |
Research Abstract |
インドリルマレイミド誘導体IM-54は当研究室で開発された細胞死抑制剤であり、ヒト白血病細胞HL60において、エトポシドなどにより誘導される典型的なアポトーシスは抑制せず、過酸化水素などの酸化的ストレスにより誘導される細胞死を強力に抑制することが見出されている。細胞死は、古くはその形態によりアポトーシスとネクローシスに区別され、アポトーシスは不要になった細胞などを排除する生体にとって必須の細胞死として位置づけられた。そのため、アポトーシス研究が精力的に行われ、カスパーゼと呼ばれるプロテアーゼファミリーを中心とする制御機構が存在することが明らかにされてきた。これら一連の研究に対してカスパーゼ阻害剤が果たした役割は大きい。一方、ネクローシスは過剰な外的ストレスなどにより生ずる受動的な細胞死と考えられていたが、近年になり、何らかの制御機構の存在が推定され、IM-54の作用機序の解明は新たな細胞死の制御機構の解明につながるものと期待される。昨年度は構造活性相関により得られた知見を基にインドリルマレイミド誘導体の細胞内局在を調べるための蛍光標識化誘導体合成、結合蛋白質同定のためのアフィニティーゲルおよび光親和性官能基を有するビオチン標識体を合成した。 本年度は昨年度合成した蛍光標識化誘導体およびビオチン標識体を用いた細胞内局在および結合蛋白質の同定を進めた、その結果、ビオチン標識体を用いた検討による蛋白質結合部位の同定には至らなかったが、蛍光標識化誘導体が局在する小器官を明らかにし、さらに、アフィニティーゲルによる結合蛋白質候補の同定にも成功した。
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