2006 Fiscal Year Annual Research Report
高圧NMR法による蛋白質の広い構造空間解析に基づく構造・機能相関原理の研究
Project/Area Number |
05J04200
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北原 亮 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | protein / NMR / pressure / dynamics / design |
Research Abstract |
蛋白質の構造揺らぎ、すなわち準安定状態や変性状態への構造転移は、蛋白質の機能発現や異常構造転移にどのように関係するのか。高圧NMR法は、圧力下で安定に準安定構造を捕捉しNMR構造解析を可能にする革新的方法であり、これまでに多くの蛋白質について準安定構造を発見した。「蛋白質の機能デザイン」の観点から、ユビキチンフオールド(UBL)を持つホモログ蛋白質及びドメインを対象に配列、構造、安定性、ダイナミクスの総合的な研究をスタートさせた。翻訳後修飾を行なうユビキチンと、NEDD8について共通に保存された準安定構造を発見し、J.Mol.Biol.に論文発表を行なった。翻訳後修飾を行なうその他複数のUBLについて高圧NMR測定を行なった結果、共通に保存された準安定構造が存在し、蛋白質により中間体の安定性は大きく異なることが分かった(論文執筆中)。この結果により、生物物理学会から若手奨励賞を受賞し、日本、スイス、フランスの国際シンポジウムで招待講演の機会を得た。 また加圧により水の凝固点を下げ、ユビキチンを用いて蛋白質の低温変性の研究を行なった。圧力と同様に、低温下では準安定構造が安定化するがその割合は圧力のそれに比べ十分小さいものであった。この結果は、圧力が温度に比べ選択的に中間体を安定化する物理量であることを明確に示した。更に、ユビキチンについては高温変性と低温変性が同じ変性状態、すなわち統一した熱容量によって十分説明できることが分かった。この成果は、Mag.Reson.Chemに論文発表を行なった。 その他、蛋白質の化学反応速度に及ぼす圧力効果の研究を行った。加圧下では、多くの蛋白質運動が遅くなるため、NMRスペクトルの解析から、準安定構造の数や分布率の情報を直接観測することに成功した。この結果は、NMR討論会で口頭発表に採択された(論文執筆中)。
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