2006 Fiscal Year Annual Research Report
数値シミュレーションを用いた銀河および宇宙の化学力学進化
Project/Area Number |
05J04242
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
小林 千晶 国立天文台, 理論研究部, 特別研究員PD
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Keywords | 銀河 / 超新星 / シミュレーション / 化学組成 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
銀河の中で生まれた星が死ぬときに超新星爆発を起こすことで、星間空間を再加熱し、重元素汚染をもたらすことに着目し、ダークマター・ガス・星からなる宇宙の科学力学進化シミュレーションを行い、銀河がいついかに生まれ進化してきたかを調べた。 (1)N体並列SPHコードGADGETを用いて、180万体で10Mpc(解像度10^7太陽質量)のフィールド領域の進化を計算した。計算にはドイツ・、マックスプランク研究所のスーパーコンピューターおよびpcクラスタを用いた(共同研究のため渡独した)。銀河形成初期における爆発的星形成による超新星の大量発生で銀河風が起こり銀河から銀河間空間へ重元素が放出されることを示し、宇宙の星形成と科学汚染の歴史を調べた(論文出版)。その結果、i)星形成は宇宙初期に銀河が衝突合体して大銀河になる前の矮小銀河でおきているので、近傍で観測される楕円銀河は古い星の種族をもつこと、ii)銀河風は現在の矮小銀河から効率よく噴くので、近傍銀河で観測される星およびガスの質量-金属量関係を再現することができた。iii)遠方銀河やQSO吸収線系の観測と一致した。 (2)近年、通常の超新星よりも十倍明るく多くの哲を放出する極超新星が存在することが確かになったので、化学進化や熱フィードバックにおけるこれらの寄与を調べた。i)金属量に依存する星の進化モデルを用いて、極超新星の元素合成イールドを計算した。ii)ワンゾーン・モデルを用いて、銀河系の元素組成の進化を計算し、銀河系の星々の観測を用いて検証した。観測される亜鉛と鉄比を説明するには、大質量星のうち半分くらいが極超新星になると考える必要があることも示した。iii)銀河系におけるバルジやthick diskといった他の種族の化学進化も矛盾なく説明できることを示した。(論文出版)
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Research Products
(3 results)