2007 Fiscal Year Annual Research Report
超巨大ブラックホールの形成と進化の大規模広視野宇宙探査観測に基づく研究
Project/Area Number |
05J04248
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
長尾 透 National Astronomical Observatory of Japan, 光赤外研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超巨大ブラックホール / 銀河形成 / 光学赤外線観測 / 化学進化 |
Research Abstract |
研究計画の最終年度にあたる本年度は、銀河と超巨大ブラックホールの進化初期段階に相当すると考えられる高赤方偏移輝線天体の可視撮像、可視分光、近赤外分光観測を、国立天文台のすばる望遠鏡を用いて行った。可視撮像観測では従来あまり用いられてこなかった中帯域フィルターを用いる新しいアプローチにより輝線等価幅(連続光強度で規格化した輝線強度)の非常に大きな天体を系統的に探査する事で、これまでにないユニークな輝線天体サンプルを構築した。これらの天体のフォローアップ分光観測のデータ解析と結果の公表も速やかに完了させたいと考えている。 一方、ハッブル宇宙望遠鏡と地上大望遠鏡を用いて国際プロジェクトとして行われた大規模広視野深宇宙探査観測(COSMOS)に関わり、高赤方偏移における超巨大ブラックホールの探査を含む観測的研究に従事した。特にこれまでの観測でほとんど見つかっていない低光度の超巨大ブラックホールに着目し、この種の天体の光度関数に強い制限を与える事に成功した。 初年度と二年目に重点的に推進した超巨大ブラックホール天体の化学組成の観測的研究については、既に2編の査読論文として出版しているが、本年度はこの成果を国際会議にて発表して当該研究分野の研究者らとの議論を進めた。またこのテーマに関連してヨーロッパ南天天文台(ESO)のVery Large Telescope(VLT)で取得した可視分光データの解析を進め、これまでの議論の統計的信頼性を向上させる取組を本年度に推進した。このデータ解析の結果はこれまでの議論を支持するものとなり、目下この成果報告論文をまとめつつあるところである。
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Research Products
(22 results)