2005 Fiscal Year Annual Research Report
高速分光・測光観測による降着円盤の可視化、及び短時間変動現象の解明
Project/Area Number |
05J04264
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
石岡 涼子 国立天文台, ハワイ観測所, 特別研究員PD
|
Keywords | 近接連星系 / 降着円盤 / 突発現象 |
Research Abstract |
降着円盤は、宇宙の様々なスケールの天体に存在し、降着円盤に起因した様々な活動現象が観測されている。銀河系内に多数存在し、短いタイムスケールで降着円盤の活動現象を示す激変星やブラックホール連星の時間分解分光・測光観測から、降着円盤の速度分布と短時間変動の機構を解明することが、本研究の目的である。 降着円盤のスペクトルは、速度場を反映したダブルピークの輝線を示す。前年度までの研究から、輝線を100km/s程度の速度幅に分割して速度成分毎の食の光度曲線を作り、エクリプス・マッピング法を用いてそれぞれの輝度分布を求めることで、2次元の速度分布を得られることが示されている。本年度は、2005年春にチリのVLTで観測された食のある短周期の激変星OY Carの高速分光観測のデータ解析を行った。同時観測の測光データがないため光度補正が十分に行えなかったという問題が残るものの、速度幅毎の光度曲線に対してエクリプス・マッピングを行って、速度場の2次元の輝度分布を求める手法は確立できた。この結果をまとめた論文を現在作成中である。 また、激変星の降着円盤にガスを供給している伴星についての観測も行った。降着円盤の状態は、伴星からの質量輸送率に大きく影響される。すばる望遠鏡を用いて伴星の寄与が大きくなる近赤外での観測を行い、活動現象の特徴と伴星のスペクトル型に関係があることを明らかにした。この結果は日本天文学会で発表し、論文を投稿中である。 時間分解測光観測を行うための高速CCD及びその制御ソフトがイギリスでほぼ完成し、来年度以降、試験観測を経て降着円盤の短時間変動現象の観測が可能になった。
|
Research Products
(3 results)