2006 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーにおける脂質の役割とその動態の制御機構の解明
Project/Area Number |
05J04300
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
奥 公秀 基礎生物学研究所, 分子細胞生物学研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | オートファジー / ミクロオートファジー / ペルオキシソーム / 液胞 |
Research Abstract |
オートファジーは細胞質成分の分解のみならず細胞内小器官の分解にも寄与している。私たちはメタノール資化性酵母Pichia pastorisにおいて、ペルオキシソームを速やかに分解するためのオートファジー(ミクロペキソファジー)について解析を行った。この経路では液胞/リソソームがペルオキシソームを包み込むために突起状構造を伸ばすことが知られている。私たちはこの突起形成にかかわる分子としてVac8タンパク質を見出した。続く解析により、Vac8内の分子内領域のうちN末端およびC末端側のそれぞれ76アミノ酸残基、109アミノ酸残基がこの突起形成に重要で、中央部のアルマジロ反復領域と呼ばれる部分は制御領域として機能すること、またVac8の欠失によりAtg11タンパク質の液胞膜への局在が消失することを見出した。 次に私たちは出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeにおいて、グリセロールを炭素源とし37℃で好気培養を行うとミクロオートファジー様の形態形成が誘導されることを見出した。ミクロオートファジーとは液胞膜が大きく陥入して細胞内小器官を包み込み、その後に包み込んだものの一部を液胞内へと輸送する経路のことであり、その分子機構はいまだに未知の部分が多い。続く私たちの研究により、この大きな陥入部位にはリン脂質の一種であるフォスファチジルイノシトール3'リン酸が蓄積していること、このリン脂質の合成に関与するVps30およびVps38タンパク質を欠失させた細胞では、上述した陥入構造の形成が著しく阻害されていることが分かった。興味深いことに、この陥入構造の形成が阻害された遺伝子変異株では、長期間のグリセロール37℃培養条件化で生存率が顕著に減少することも見出された。
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Research Products
(3 results)