2005 Fiscal Year Annual Research Report
酵母組換えホットスポットHOT1における組換え分子機構の解明
Project/Area Number |
05J04306
|
Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
芹澤 尚美 基礎生物学研究所, ゲノム動態研究部門, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 組み換え / 転写 / 分子生物学 |
Research Abstract |
体細胞での組み換えを理解するには、組み換えを高頻度で起こすような配列(ホットスポット)の解析が有効である。出芽酵母の組み換えのホットスポットであるHOT1配列は、染色体上の任意な場所においてその近傍の相同組み換えを数十倍活性化するDNA断片である。HOT1には35SリボゾームRNA遺伝子(rDNA)の転写のプロモーターおよびエンハンサー領域が含まれており、その組み換え活性化には35S rDNAの転写を司るRNAポリメラーゼI(Pol I)が必要である。 これまでに転写によるHOT1の組み換え活性化機構を解析するため、約150コピーあるrDNAをすべて欠損させた株(rdnΔΔ)を作成した。この株においては、余剰のPol I等の転写因子の発生により、HOT1の転写量が百数十倍に上昇している。この系を用いてHOT1組み換え活性の頻度を調べたところ、転写量に比例して組み換え頻度が上昇しており、最も高いものでは野生株に比べて約15倍、HOT1を持たない株に比べて約200倍上昇していた。 本研究においてこの高頻度に転写と組み換えの起こる系を用いてHOT1の分子メカニズムについて解析したところ、転写が起こっている領域においてDNAの一本鎖切断が生じている証拠が得られた。転写によるDNAへの傷が組み換えを引き起こす要因となっていると考えられる。またこの領域ではDNAのヌクレオソーム構造の攪乱が起こっていた。現在は一本鎖切断及びヌクレオソーム構造の変化がどのように二重鎖切断、および組換えを引き起こしていくのかについて、さらに解明を行っている。
|