2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の体節における領域形成と特異化をつかさどる分子機構
Project/Area Number |
05J04326
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
川村 哲規 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 体節形成 / ゼブラフィッシュ / ripply |
Research Abstract |
脊椎動物の体幹部には、脊椎骨、肋骨、骨格筋や感覚神経節などの前後軸に沿った繰り返し構造がみられる。このような規則正しい反復性の起源は、発生過程で一過的につくられる体節の分節性に由来する。体節は未分節中胚葉の最前方部分が、体幹部の伸長に伴って頭部側から尾部側へと周期的にくびれ切れ、ひとつずつ付け加わることで形成される。近年の精力的な研究の成果から、体節形成過程に関わる遺伝子群が数多く同定され、それら多くの遺伝子は未分節中胚葉で発現し、体節へと分化する際に発現が消失する、もしくは大きく発現レベルが切り替わることが共通してみられる。我々はこれまでにゼブラフィッシュを用いた解析から、未分節中胚葉から体節への分化過程で体節の形成過程に関わる遺伝子群の発現を抑制する機構が存在し、そこには新規の転写因子Ripply1が関与することを明らかにしてきた。しかしながら、その分子機構および既知の分節遺伝子群とどのようなネットワークを構築するのかに関して、殆ど不明のままである。本研究では、体節形成過程においてRipply1がどのようにして体節の分節化に関わる遺伝子の発現を抑制するのか、その作用機構を分子レベルで明らかにし、さらに脊椎動物で保存されているRipplyファミリーがどのような因子であるかを理解することを目的としておこなっている。 今年度は、Ripply1の転写因子としての機能を解析することを目的として、相互作用する因子の探索を行った。培養細胞を用いた免疫沈降実験の結果、Ripply1は転写因子Xと有意に結合することが示された。さらに、ルシフェラーゼ・アッセイを用いた解析により、転写因子Xは通常、転写活性化因子として働くが、Ripply1の存在下では一転して、転写抑制化因子として機能することが分かった。また、Ripply1のこのような作用には、転写共抑制因子Groucho/TLEと結合するWRPW motifが必須であることから、Ripply1を仲介としてGroucho/TLEを転写因子Xにrecruitすることによって、転写因子Xの転写状態を全く正反対の性質(転写抑制化)へと変換していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)