2007 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の体節における領域形成と特異化をつかさどる分子機構
Project/Area Number |
05J04326
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
川村 哲規 Saitama University, 理工学研究科, 助教
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Keywords | 体節形成 / ゼブラフィッシュ / ripply / T-box型転写因子 / 転写 |
Research Abstract |
脊椎動物の体幹部には、脊椎骨、肋骨、骨格筋や感覚神経節などの前後軸に沿った繰り返し構造がみられる。このような規則正しい反復性は、発生過程で一過的につくられる体節の分節性に由来する。体節は未分節中胚葉の最前方部分が、体幹部の伸長に伴って頭部側から尾部側へと周期的にくびれ切れ、ひとつずつ付け加わることで形成される。近年の研究の成果から、体節形成過程に関わる遺伝子群が数多く同定され、それら多くの遺伝子は未分節中胚葉で発現し、体節へと分化する際に発現が消失する、もしくは大きく発現レベルが切り替わることが共通してみられる。我々はこれまでにゼブラフィッシュを用いた解析から、未分節中胚葉から体節への分化過程で体節の形成過程に関わる遺伝子群の発現を抑制する機構が存在し、そこには転写共抑制因子Grouchoと結合する転写因子Ripply1が関与することを明らかにしてきた。しかしながら、Ripply1の分子機構に関して、殆ど不明のままであった。 今年度は、Ripply1の転写因子としての作用メカニズムの一端を明らかにした。具体的には、Ripply1はT-box型転写因子であるTbx24と結合し、Grouchoをリクルートすることで、本来、転写活性化因子であるTbx24を転写抑制化因子に変換し分節プログラムを終結することを示した。これまでにRipply相同遺伝子は脊椎動物で3つずつ存在し、一方のT-box遺伝子は30種類近く報告されている。Ripply1-Tbx24間で判明した結果は他のRipply-Tbxの組み合わせでも同様にみられることから、Ripplyは一般的にT-box型転写因子にGrouchoを仲介するアダプター分子であると示唆される(Mol.Cell.Biol.,2008)。
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Research Products
(3 results)