2005 Fiscal Year Annual Research Report
イオン照射による超磁歪材料薄膜の磁歪特性に及ぼす微細組織と残留応力の影響
Project/Area Number |
05J04340
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
竹内 光明 東海大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超磁歪材料薄膜 / イオン照射 / 磁歪感受率 / 内部応力 / 磁気弾性効果 / 照射損傷 |
Research Abstract |
超磁歪材料薄膜は、従来から真空蒸着法やプラズマプロセスにより作製されており、薄膜の微視的構造、内部応力、磁歪特性の間には密接な関係があることが経験的に知られているが、プラズマ中におけるイオンの挙動を捉えにくく、イオン照射やイオン衝撃が磁歪特性へ及ぼす影響について系統的な研究は行われていない。 本研究は、イオン照射及びイオン衝撃が超磁歪R-Fe(R:Sm,Tb)薄膜の微視的構造、内部応力、磁歪特性へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 本研究でDCマグネトロンスパッタリング法を用いてナノクリスタルを含む非晶質構造のR-Fe(R:Sm,Tb)薄膜を作製した。 成膜後のイオン照射がR-Fe(R:Sm,Tb)薄膜の微視的構造と内部応力及び磁歪特性へ及ぼす影響について検討した。低イオン流束(1.5x10^<14>ions/cm^2・s)のArイオン照射を行った結果、R-Fe(R:Sm,Tb)薄膜の表面に照射損傷層が形成され、その結果、薄膜全体に塑性変形が生じ、圧縮の内部応力が増加することを見出した。正磁歪材料のTb_<36>Fe_<64>薄膜の場合、圧縮の内部応力の増大が垂直磁気異方性を増加させるため、磁歪感受率が減少することがわかった。これに対し負磁歪材料のSm_<27>Fe_<73>薄膜の場合、圧縮の内部応力の増大は面内磁気異方性を増加させるため、磁歪感受率が増加することがわかった。 一方、高イオン流束(5.0x10^<14>ions/cm^2・s)でArイオン照射を行った結果、照射に伴う試料表面のアニーリング効果により内部応力が緩和され、垂直磁気異方性が減少することを見出した。その結果、正磁歪材料の磁歪感受率を増加させる結果になった。 以上のように、成膜後のイオン照射によって、R-Fe(R:Sm,Fe)薄膜の磁歪特性を制御することが可能であることをはじめて明らかにした。
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Research Products
(2 results)