2006 Fiscal Year Annual Research Report
実地観測による森林キャノピー下部の乱流特性と輸送現象に関する研究
Project/Area Number |
05J04346
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
中村 麗奈 独立行政法人森林総合研究所, 気象環境研究領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | 水平蛇行流 / 夜間安定成層 / 森林 / メソスケール運動 / 重力流 / タワー観測 / 乱流 / 北米 |
Research Abstract |
今年度も、北米オレゴン州中部のポンデローザマツ観測地の2004年のタワー観測データを中心に、次の3点に重点を置き、解析を行った。1)安定成層内における水平蛇行運動、2)温位場の時間変化の特性、3)森林樹幹(キャノピー)下部と上部の流れの場のカップリングについて。ここでは、1)について詳細を記す。 森林樹幹上部、下部共において、横風風速の分散の摩擦風速に対する比(σ_v/u^*)は、安定度と共に上昇するが、この上昇はメソスケール成分によることを確認した。この比は、風向変化の度合いと正の相関もあり、安定度の上昇と共に、低周波の水平蛇行運動が森林環境においても卓越することが分かった。しかし、この安定度に対する、水平蛇行運動の上昇率は平地に比べて、森林環境では低くなり、森林には、摩擦速度に対して、水平蛇行運動を相対的に減少させる効果があることが分かった。又、水平蛇行運動は、安定度よりも風速に大きく依存し、水平蛇行運動が顕著になる風速臨界値は、樹幹下部においては、上部に比べ、オーダー小さくなる。 水平蛇行運動は、横風方向の水平風速の自己相関関数に負の極大部分として表れる傾向があった。これは、横風方向に対して、正味質量輸送をゼロにするために、バックフローが必要なことを示している。又、極大値は風速と共に減少する傾向があった。 風速が低い場合でも、重力流が樹幹下部、林床付近を流れる際は、水平蛇行運動が通常に比べ、減少する。重力流は、観測地点付近の地形によって生じ、特定の風向を伴って流入してくるため、この効果が水平蛇行を覆い隠す結果を生じていると考えられる。重力流の流入時は、樹幹上部、下部共に、風速が低い状態であるが、以上の理由で、いわば蛇行流の樹幹上下間での分離現象が起きることがある。つまり、蛇行流のパラメータ化には、風速だけでは不十分であることを例証した。
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Research Products
(1 results)