2005 Fiscal Year Annual Research Report
木造建築における伝統的接合法の強度発現機構の解明及びそれに基づく補強法の開発
Project/Area Number |
05J04347
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
宇京 斉一郎 独立行政法人森林総合研究所, 構造利用研究領域, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 伝統的接合法 / 腰掛け鎌継 / 引張耐力 / 画像相関法 / ひずみ分布 / 応力集中 / 応力-ひずみ関係 |
Research Abstract |
本年度は,伝統的接合部の耐力発現機構を直接観察の結果から明らかにするために,実大接合部の引張破壊実験を行い,画像相関法を用いて接合部位のひずみ分布解析を行った。検討した伝統接合は,使用頻度が高くかつ他の接合形式と比較して形状が基本的な「腰掛け鎌継」とした。接合部位の幾何学的要因が接合強度に与える影響を検討するために,鎌のせん断面の長さとあご幅の比を変化させた実験を行った。主な結果は以下の通りである。 1.鎌のあご幅とせん断面の長さの比(以下,形状比)が1:8以上では,引張耐力が頭打ちとなり,あご幅に対してせん断長さを増加させても耐力がそれ以上増加しないことが明らかとなった。 2.鎌のせん断面における繊維直交方向ひずみ分布から,最大耐力に達する前にせん断面の一部が破壊していることが確認された。この部分破壊が全せん断長さに占める割合は,形状比が小さいほうが大きくなった。形状比が小さい試験体では耐力が小さかったことから,部分破壊が靭性低下に影響を与えていることが示唆された。 3.せん断ひずみ分布と鎌の形状との関係を明らかにした。せん断ひずみ分布を元にせん断応力集中度を推定すると,形状比が大きいほうが応力集中度は大きくなることが示された。このことから,接合耐力の発現とせん断応力分布(せん断応力集中)との関係が示唆された。 なお,3については,木材のせん断特性と接合耐力との関係を明らかにするために,有限要素法を用いてせん断の応力-ひずみ関係の非線形性を考慮した応力解析を検討中である。
|