2005 Fiscal Year Annual Research Report
モジュール動態による低木類の生育状態評価-多種共存に配慮した里山管理計画の立案-
Project/Area Number |
05J04357
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
河村 耕史 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 里山 / 光量子束密度 / 光環境 / 樹冠構造 / 分枝様式 / 日射フィルム / crown architecture / forest understory light environment |
Research Abstract |
コジイとアラカシは西日本の温帯林において主要な構成種である。二次林の下層に同所的に生育するコジイとアラカシの稚樹(樹高62-289cm)の樹冠構造と成長を定量的に比較した。両種の樹冠形を支持器官(幹+側枝)バイオマスあたりで比較すると、コジイはアラカシに比べ大きな樹冠面積を持っていたが、樹高は小さかった。また、コジイの地上部バイオマスの純生産速度(RGR,0.442g g-1 yr-1)はアラカシ(0.256 g g-1 yr-1)の二倍近くであり、これを反映し、幹の肥大成長と総側枝長の相対成長速度はすべてアラカシよりもコジイで大きかった。しかしながら、樹高成長速度に種間差は見られなかった。これより、大きな樹冠面積をもつコジイは、アラカシよりも光の獲得能力が高いため大きなRGRを実現できるが、樹冠面積を広げるコストが大きいため樹高成長が制約されていることが示唆された。本調査地のような暗い森林下層では、樹冠を大きく発達させることにより同化産物の生産性を高めているコジイのほうが、アラカシよりも有利であることが示唆された。 森林下層の光量子束密度の推定における日射フィルムの適用性について調べた。天然性二次林の下層において、1年間で合計42地点の測定を行ない、フィルムの退色率(F)、フィルムに照射された光量子量の積算値(PPFDtotal)、フィルム露光期間中の日最高気温の平均値(T)を求めた。記録値の範囲は、Fが35-99%、PPFDtotalが1.4-28.3mol m-2、Tが6-32℃であった。FとTの値から高い決定係数(r^2=0.94)でPPFDtotalを回帰する式が得られた。回帰式から求めたPPFDtotalの推定値と実測値の誤差は平均1.3mol m-2、最大5.7mol m-2であった。これらの結果より、森林下層の光量子束密度の推定における日射フィルムの高い適用性が示唆された。
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