2006 Fiscal Year Annual Research Report
モジュール動態による低木類の生育状態評価-多種共存に配慮した里山管理計画の立案-
Project/Area Number |
05J04357
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
河村 耕史 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 特別研究員(PD)
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Keywords | architectural constraint / branching pattern / cost of reproduction / meristem limitation / modularity / plant architecture / shoot demography / trade-off |
Research Abstract |
ツツジ科の低木種であるウスノキを材料に、開花が起こる頻度と開花が栄養成長に与える影響(コスト)について、シュート単位の解析を行った。前年枝の頂芽が花になったシュートを繁殖枝、前年枝の頂芽が当年枝になったシュートを栄養枝とした。繁殖枝は栄養枝に比べて、当年枝の数と総伸長量が小さかった。これはシュート単位の繁殖コストを示している。この繁殖コストは、サイズの大きなシュートほど大きいことが解析により示された。さらに、分枝パターンを推移行列を使って解析し、当年の繁殖が将来の潜在的な繁殖量に与える負の影響を査定したところ、約7cm以上のサイズのシュートでは、将来の潜在的な繁殖量に与える負の影響が当年の繁殖量より大きいことが示唆された。一方、頂芽が花になる確率を調べたところ、小さいサイズのシュートでも大きいサイズのシュートでも花形成の確率は低く、中程度のサイズのシュートで最大になっていた。小さいサイズのシュートは花形成に必要な同化物資源が不足しているものと推察される。大きいサイズのシュートが花形成を行う確率が低いという現象は、生活史理論の観点から、樹冠レベルでの生涯の繁殖量を増加させるために花を形成しないという適応的な形質であると解釈できる。このように、花形成が樹冠発達に与える影響はシュート単位で局所的に起こること、そして、それ故に花形成の頻度もまた、シュートのサイズに依存して強く決まっていることが示唆された。
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