2006 Fiscal Year Annual Research Report
竹材の細胞壁構造モデルの構築およびそれに基づく力学的特性の解明
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05J04371
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
小澤 よう子 (井口 よう子) 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | 竹材 / 蛍光顕微鏡 / 細胞壁構造 / ミクロフィブリル傾角 / 自己接着ボード / 竹粉 / 竹繊維 / 曲げ強度 |
Research Abstract |
蛍光顕微鏡による竹材の細胞壁構造の観察手法、主に試料の作成方法について検討した。この観察手法は、光学異方性を有する蛍光分子を横断面切片に導入した際、蛍光分子が繊維直角方向に配向している時、最も発光が強く、繊維方向に配向しているほど発光は弱いという、発光の差異から間接的にミクロフィブリルの配向を捉え、フィブリル配向の異なる壁層を識別する観察手法である。エポン樹脂包埋を施して切り出した厚さ約3μmの切片が比較的良好な観察像が得られた。ただし、切片に樹脂が充填された状態では蛍光分子が十分に導入されず、壁層の識別が困難なため、切り出した切片に対し脱包埋処理を施し、蛍光分子を導入する方法が適切であると判断された。 竹桿半径方向におけるミクロフィブリル傾角の変化を調べるために、オーストラリア科学・技術研究機構に依頼し、ブロック状のサンプルに対し、0.05mmごとに連続的にミクロフィブリル傾角等を測定できるSilviScan2による測定を行った。ミクロフィブリル傾角は約8〜10°であり、半径方向における変動傾向は特に認められなかった。測定は、X線回折に基づくもので002面の回折像より傾角を算出しており、柔細胞のようにランダムなフィブリル配向の影響は除かれていることから、この値は主に厚壁繊維細胞のフィブリルの配向角度が測定値に反映されているものと推察された。 また、竹粉および竹繊維を用いた自己接着ボードを試作した。圧締条件180℃、15分で、目標密度1.0g/cm^3のボードを作製した。竹粉のみの場合、粒度が細かい程、曲げ強度が高くなる傾向を示した。また、原料に少量の水を添加することが、強度および耐水性の向上に効果的であった。竹粉のみのボードは脆性的な破壊をしたが、ボード総質量に対し約10%の繊維を混合したところ、強度のみならず歪みも増加し、靭性の向上に効果的であった。
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Research Products
(2 results)