2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J04391
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
竹内 史郎 関西学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 原因理由表現 / 歴史的研究 / 対照言語学的研究 / ミ語法 / 格標示体系 |
Research Abstract |
今年度の研究の目的は、第一に、諸方言や現代共通語を視野に入れ、原因理由表現を対照言語学的に考察すること、第二に、原因理由表現の歴史に関するこれまでの成果と、上に述べた対照言語学的考察から得られた成果とを有機的に関係づけることであった。 このような見通しの下、今回明らかになった知見は次の通りである。 1 広島方言・岡山方言には終助詞ケンと言うべき形式が認められ、これは原因理由を表す接続助詞ケンを起源とする。 2 原因理由を表す形式の用法を、歴史的ないし対照言語学的な観点から記述する際には、少なくとも、因果用法(前件の事態が後件の事態の原因理由となるもの)・判断用法(前件が後件で述べられる判断の根拠となるもの)・終助詞用法の区別が必要である。 3 歴史的にみると、原因理由を表す形式は「因果用法>判断用法>終助詞用法」といった順序で用法を拡張する。 4 現代共通語を含め諸方言の原因理由を表す形式の用法を見渡してみると、終助詞用法の獲得の度合いについてバリエーションが存する。広島方言は終助詞化が相当に進んだ言語と考えられる。 5 上代語の原因理由表現の一つである語法の構文的性格を説明した。その一環として、上代語と古代琉球方言の格標示体系について考察を加えたが、両者は現代共通語の格標示体系とは異なり、類似関係にあると言える。
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Research Products
(1 results)