2005 Fiscal Year Annual Research Report
三者関係における結託と孤立のゲーム理論的分析〜合理的選択と心理的葛藤の最適戦略〜
Project/Area Number |
05J04409
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
小杉 考司 関西学院大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 三者関係 / ゲーム理論 / バランス理論 / 項目反応理論 / ソシオン理論 |
Research Abstract |
今年度は、ゲームの状況をプレイヤーがどのように把握しているか、という認知プロセスに重点を置いて研究が進められた。二人で行われるゲームと違い、三人のプレイヤーがいる場合は他者間の関係(ソシオブリッジ)をどのように推測するかが重要になってくると考えられたため、三者関係のパターンをバランス理論に沿って推測する仮説的モデルを考案した。 さらに、実際にHuman Subjectを使う場合は、与えられた状況の把握しやすさ、しにくさという特徴が反映されるはずなので、この把握のしやすさを測定する実験を行った。実験は、協力者に三者関係パターンを記憶してもらうというもので、あらゆる三者関係パターンを呈示してその記憶時間を従属変数として測定する、というものである。結果は現在分析中であるが、潜在特性モデル(項目反応理論)を用いることで実験刺激の困難度を算出できると考えている。潜在特性モデルをこのように応用できる可能性を見いだしたことは、今年度に得られた新たな知見である。 今年度の結果から環境要因の理論的整理が整いつつあるので、次年度以降は個人要因に着目しながら研究を進めたい。具体的には、(1)環境に応じた最適戦略の探索および、(2)自己中心的戦略と非自己中心的(愛他的)戦略という対立的戦略の解決モデルの検証である。後者はソシオン理論において、それぞれ荷重最大化方略と矛盾最小化方略と呼ばれている物であり、この二つの方略から導かれる並列最適化問題の解決が、三者関係モデルの重要なポイントになってくると考えられる。実施に際して、前者はコンピュータ・シミュレーションによるアプローチが、後者はそれに加えて、さらに実験室実験による検証が有効であろうと考えている。
|