2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J04426
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中川 加奈子 関西学院大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地域文化 / コミュニティ / 近代化 / グローバリゼーション / 社会運動 / 江州音頭 / ネパール / 肉食文化 |
Research Abstract |
近年、グローバリゼーションが進行する中で、地域間の差異化を図ろうとする動きも並行して進んでいる。本研究ではこうした中で、人々はどのようにアイデンティティを構築し、いかなる主体として社会に働きかけることができるのか、地域文化の伝承という見地から社会学的に提示することを目的とした。具体的には、(1)日本の農村社会における民俗芸能の担い手とその存立基盤のあり方、(2)ネパールの都市部における、カースト制度をはじめとする社会体制の解体と、その中でのマイノリティたちの地域文化の再編成のプロセス、の2点を検討した。 本年度は、(1)に関する研究成果の一環として、地域行政からの要請をうけて地域文化の再編成を行う代表として、担い手たちに行政の意図を伝道しようとする「媒介者」の役割を論文にまとめ、学術雑誌に発表した。 また、(2)については、これまでカースト制度の中でマイノリティに位置づけられてきた「カドギ」(肉売りを生業としてきた部族民)を対象とし、カドギたちは、近代化に伴う肉食文化の普及によって経済的に豊かになり他民族に対する発言力を強める中、地域生活の中で他民族と関わる儀礼や日常的な生産消費活動を介して、自身の文化や歴史について再定義をはかっていることを研究会にて報告した。その具体的な内容を報告書に発表し、現在、社会文化的な意味を考察した上で学術雑誌に投稿する準備を進めている。近年、カースト制度に組み入れられない「非ヒンドゥー」を語るマイノリティたちの自立運動が活発化しつつあるなかで、カドギたちは一つのモデルケースを示しているといえる。 今後、(1)の成果、(2)の成果を比較検討した上で、博士論文において、コミュニティにおける人々の実践に注目し、マクロな権力構造の中で地域に持ち込まれる論理を、生活世界を充実させるための選択肢として便宜的に選び取る主体の創造性を提示していきたい。
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Research Products
(2 results)