2005 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの学校適応に必要な行動および感情コンピテンスについての実証アセスメント研究
Project/Area Number |
05J04429
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大對 香奈子 (大対 香奈子) 関西学院大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 学校適応 / 学校肯定感 / 仲間関係 / 社会的スキル / 社会的スキル訓練 / 学校適応アセスメントモデル |
Research Abstract |
大対・大竹・松見(投稿中)の「学校適応アセスメントモデル」では、子どもの学校適応を3つのレベルでアセスメントすることを提唱している。レベル1は子どもの行動特徴についてのアセスメント、レベル2は子どもの行動が環境の中でどれほど適応的に機能しているかのアセスメントであり、一般的に教師の評価や仲間からの受容により測定される。レベル3は、子どもが学校を楽しいと感じる程度に関する包括的かつ主観的な評価のアセスメントである。このモデルに基づくアセスメントによって、子どもの学校適応を的確に捉えられるかについて、以下の3つの研究から検証を行った。 研究1では、レベル3の指標としてLadd & Price(1987)のSchool Liking and Avoidance Questionnaire(SLAQ)の日本語版を開発し、子どもの学校肯定感に「友人との関係」「教師との関係」「学業」がそれぞれどのように影響を及ぼしているかを検討した。その結果、これら3つの中で「友人との関係」が学校肯定感に最も強い影響を与える要因であることが明らかになった。そこで、研究2では仲間関係に注目し、レベル1のアセスメントとして社会的スキル、レベル2のアセスメントとして仲間からの受容を指標とし、社会的スキルの高い子どもほど仲間に受容され、その結果学校への肯定感も高まるのかどうかを検討した。この結果については現在分析中である。また研究3では、小学3年生の児童を対象に学級単位の社会的スキル訓練(SST)を実施し、介入によって子どもの社会的スキルを高めた結果、仲間関係に改善が見られ、学校肯定感も高まったかを検討した。結果、SSTにより社会的スキルを獲得した児童は仲間関係にも改善が見られ、また学校肯定感の低かった児童に介入後、特に顕著な学校肯定感の向上が見られた。 これらの研究は未発表であり、今後学会や論文での発表を計画している。
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