2006 Fiscal Year Annual Research Report
強制遊泳によって形成される味覚嫌悪学習についての生理心理学的研究
Project/Area Number |
05J04433
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
柾木 隆寿 関西学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 古典的条件づけ / 味覚嫌悪学習 / 強制遊泳 / 運動 / ラット |
Research Abstract |
ラットに味覚溶液を摂取させた後に、逃避不可能なプールの中で強制的に泳がせると、ラットはその味覚溶液を忌避するようになる。この現象は味覚溶液を条件刺激、強制遊泳を無条件刺激とした味覚嫌悪条件づけの枠組みで捉えられている。本研究では、この現象が成立するメカニズムを行動学的・生理心理学的手法を用いて検討した。 まず、運動という観点から、強制遊泳によって生じる味覚嫌悪の強度と回転かご走行によって生じる味覚嫌悪の強度の比較を行った。また、典型的な無条件刺激である塩化リチウムによって生じる味覚嫌悪の強度との比較も行った。その結果、塩化リチウムの投与で最も強い嫌悪が形成されることが示されたが、強制遊泳、回転かご走行ともに30分以上の持続時間であれば比較的強い嫌悪が形成されることが示された。この結果は、Physiology & Behavior誌に掲載された。 各種の実験で得られた最適なパラメータを用い、運動処置によって活性化される脳部位の比較を行った。免疫組織化学法を用いた実験の結果、強制遊泳、回転かご走行で活性化される脳部位は、最後野、孤束核、結合腕傍核など従来の研究で報告されている味覚嫌悪学習の成立に必要な部位と共通していることが示されたが、他にも様々な部位が活性化しておりさらに詳細な検討を行う必要が示された。 また、強制遊泳の無条件刺激としての性質を詳しく調べるため、味覚以外の刺激との条件づけが可能か否かを検討した。文脈刺激と強制遊泳の対呈示をラットに経験させた結果、ラットはその文脈を忌避するようになることが示され、強制遊泳は回転かご走行とは異なる性質を有していることが示唆された。これらの結果は国内外の学会ですでに発表し、現在論文を準備中である。 そして、この強制遊泳や回転かご走行で味覚嫌悪が形成されるという新しい現象を一般の読者にわかりやすく紹介した図書を執筆した。
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Research Products
(2 results)