2005 Fiscal Year Annual Research Report
構成論的アプローチによる能動的運動がもたらす知覚と認知の複雑さに関する研究
Project/Area Number |
05J04443
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
飯塚 博幸 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 能動性 / 身体性認知科学 / 構成論的アプローチ / ニューラルネットワーク / ホメオスタシス |
Research Abstract |
研究計画に基づき、初年度は、能動的な運動がもたらす知覚を目指したシミュレーションモデルの構築を行った。モデルの構築において、シミュレーションにおける能動性とはなにかということに重点をおき、従来研究とは異なる知覚モデルの構成を行った。モデルは計画にあるとおり、ニューラルネットワークを基にした移動ロボットを用いることによって実現した。本アプローチにでは、ホメオスタシス(恒常性)原理を用いることによって、内部ダイナミクスを豊富にし、容易に非常に遅いダイナミクスと早いダイナミクスを共存させた。これは、従来から行われている研究とくらべ、大いに異なる点であり、特色でもある。 この移動ロボットには、走光性をおこなうと同時に二つのうちの一つの光を"選択"するように進化的手法を用いることによって学習させた。本研究では、この選択に能動性を見出した。シミュレーションの結果、選択における持続性とともに他の選択へと遷移する性質を構成した。従来の選択モデルでは、先天的に選択肢が与えられている。つまり、振る舞いのレベルと選択のレベルが別々に用意され、選択のレベルではある"ルール"が与えられ、そのルールによって選択を遷移するという考えであった。そのため、その能動性は議論の対象とはなりえない。しかし、本研究では、振る舞いと選択するということが同一のレベルによって記述されているため、選択を行うための"ルール"を外部に用意する必要がない。つまり、振る舞い自体がその振る舞いの選択を含み、振る舞いの揺らぎが選択を決定する。その結果、外的要因(環境)が選択を揺らがせる場合と、内的揺らぎを使うことによって(自発性)選択を遷移する、二つの場合が得られ、その解析を行った。その持続性が強いときには、ダイナミクスは環境に左右されることなく、内的なダイナミクスによって振る舞いが作り出せることがわかった。
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Research Products
(2 results)