2006 Fiscal Year Annual Research Report
構成論的アプローチによる能動的運動がもたらす知覚と認知の複雑さに関する研究
Project/Area Number |
05J04443
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
飯塚 博幸 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 能動性 / 身体性認知科学 / 構成論的アプローチ / ニューラルネットワーク |
Research Abstract |
複数のエージェントにおける能動的運動がもたらすエージェントの意図性に関するシミュレーションの提案を行い、解析を行った。シミュレーションモデルはフランスのCompiegneのグループによって行われた2人の被験者によるperceptual crossing実験を基にして作られた。この認知実験においては、人間の運動と知覚は最小限に限られ、マウスを動かすことによって1次元上を左右に動くことができ、それがなにか(相手もしくはオブジェクト)に触れると機械を通してオンオフの刺激を受ける。人の実験では、その主体から一定の距離を保ちつづけながら動く影のようなオブジェクト(つまり運動そのものにおいては主体と違いがない)とその主体を、自分の運動とそれに対する相手の反応を見ることによって区別することができる。つまり、運動そのものというよりもメタに運動に対して埋め込まれている意図を読み取っている。シミュレーションにおいては、エージェントの運動と知覚は実験と同じで最小限度に留めた。この環境下において、エージェントは、相互作用している相手の運動が以前相互作用したときに記憶され、ただそれをリプレイしている非リアクティブエージェントであるか、もしくは、リアクティブに反応しているエージェントであるかを区別しなければならい。このタスクをニューラルネットワークによって実現されたエージェントに与え、遺伝的アルゴリズムを用いることによって、力学系構造を内部に獲得させた。そして、タスクを達成する力学系構造の解析を行い、シミュレートされた意図性に関する考察を行った。結果、その構造は、今まで研究で使われるアトラクターパラダイムとは異なり、アトラクター間のtransientダイナミクスを用いて行っていることがわかった。
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