2006 Fiscal Year Annual Research Report
遍歴電子メタ磁性転移を利用した高性能磁気冷凍作業物質の開発に関する研究
Project/Area Number |
05J04553
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤枝 俊 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遍歴電子メタ磁性転移 / 磁気熱量効果 / キュリー温度 / 磁気冷凍 |
Research Abstract |
磁性体の磁気熱量効果を利用した磁気冷凍は、有害フロン系ガスを一切使用せず、従来の気体冷凍よりも高い冷凍効率を実現できるため省エネにも繋がる環境に優しい冷凍技術である。そこで、本研究では、La(Fe_xSi_<1-x>)_<13>のさらなる磁気熱量効果の向上および180K以下への動作温度範囲の拡充などの材料特性向上に関する研究を行い、高性能磁気冷凍作業物質の開発を目的とする。 動作温度範囲を180K以下に拡充できればLa(Fe_xSi_<1-x>)_<13>化合物は現用の冷凍関連分野に加え、超伝導デバイスの冷却装置、さらには新エネルギーとして注目されている水素の液化機など、次世代技術にも利用できる。La(Fe_xSi_<1-x>)_<13>は約180K近傍のキュリー温度直上において、永久磁石で対応可能な弱い印加磁場で大きな磁気熱量効果を示すので、キュリー温度の低下制御が求められる。昨年度、La(Fe_xSi_<1-x>)_<13>のCeおよびMnでの複合部分置換により、メタ磁性転移特性を保持しつつキュリー温度を60K程度まで低下制御でき、巨大磁気熱量効果が得られることを明らかとした。そこで、本年度は、La_<1-z>Ce_z(Fe_xMn_ySi_<1-x-y>)_<13>の組成とキュリー温度の関係をさらに詳細に検討し、さらなるキュリー温度の低下制御を行なった。その結果、La_<0.75>Ce_<0.25>(Fe_<0.850>Mn_<0.035>Si_<0.115>)_<13>において強磁性が消失し、基底状態においてメタ磁性転移が生じることを突き止めた。このことは、La_<1-z>Ce_z(Fe_xMn_ySi_<1-x-y>)_<13>は組成を調整することで190K以下の広い領域の任意の温度で巨大磁気熱量効果を示すことを意味する。従って、La_<1-z>Ce_z(Fe_xMn_ySi_<1-x-y>)_<13>は低温領域対応の磁気冷凍作業物質として非常に有望であることが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)