2007 Fiscal Year Annual Research Report
微細Cu配線のナノレベル界面強度と界面物性に関する研究
Project/Area Number |
05J04554
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関口 貴子 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Cu配線 / ナノスクラッチ試験 / 界面密着性 / 応力解析 |
Research Abstract |
これまではシリコン基板上にCuの連続膜を蒸着した試料を用いてナノスクラッチ試験による界面密着強度の測定を試みてきた。その結果、有限要素法による応力解析を用いることで、ナノスクラッチ試験により測定される剥離の臨界荷重に含まれる試料内の塑性変形、残留応力の影響を補正することが可能であることがわかった。そこで今年度は、微細配線の界面密着強度の測定を試みた。今回用いた配線は、配線幅1μmと3μm、配線深さが150nmであり、絶縁層にはSiO2、バリア材にはTa/TaNの二層構造の試料を用いた。ナノスクラッチ試験には、先端半径が1μm球状圧子を用いた。 ナノスクラッチ試験では、垂直荷重と水平荷重の比で定義される摩擦係数の急激な変化より剥離を検出することができる。今回行った試験では、配線幅が1μmと3μmの試料いずれの場合についても、剥離を示すと考えられる摩擦係数の変化が再現性良く得られた。このことは、スクラッチ試験中に試料内で界面剥離が生じたことを示唆している。また有限要素法による応力解析を行ったところ、配線幅が3μmの試料では側壁の影響が小さく連続膜と類似の応力分布を示し、配線の底部で最も高いせん断応力を示すことがわかった。これに対して、配線幅が1μmの試料では、側壁でも配線底部に近い値のせん断応力を示すことが明らかになった。このため、配線幅が小さくなると配線の底部ではなく側壁での剥離が生じる可能性が考えられる。しかし今回の試験については、試験後のSEMによる表面観察で側壁での剥離は観察されなかったことから、剥離は3μmの試料と同様に配線底部で生じたものと考えられる。 今回得られた結果は、ナノスクラッチ試験を用いることで微細Cu配線における密着強度の測定が可能であることを示唆している。
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Research Products
(2 results)