2006 Fiscal Year Annual Research Report
海産ポリエーテル天然物の全合成およびその構造と生物活性の多様性との相関関係
Project/Area Number |
05J04596
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
不破 春彦 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 海産天然物 / ポリエーテル / 全合成 / 構造改訂 / 絶対立体配置 |
Research Abstract |
ブレベトキシン類を代表とする海産ポリエーテル系天然物は、複雑で巨大な分子構造と強力な生物活性を有することから、有機化学や生化学領域で多いに注目されている。これら天然物は、中員環エーテルが梯子状に連続縮環した共通の構造モチーフを有するにもかかわらず、非常に多様性に富んだ生物活性を発現する。本研究者は、分子構造と生物活性の多様性との相関を解明すべく、一連のポリエーテル系天然物およびその構造類縁体を有機合成によって調達・ライブラリー化し、多面的に生物活性評価を行うことで、情報の集積化をはかることとした。 本年度は、昨年度に引き続き、新規海産ポリエーテル系天然物ブレベナールの全合成研究を行った。独自に開発した収束的ポリエーテル骨格合成法に基づき五環性骨格を構築した後、左右の不飽和側鎖を順次導入し、Badenにより報告された提出構造式の全合成を達成した。しかし、提出構造式の合成品の^1Hおよび^<13>CNMRスペクトルが天然物のそれらと一致しなかったことから、提出構造式の改訂の必要性を明らかにした。合成品と天然物それぞれのスペクトルデータを詳細に解析したところ、C26位の立体化学が誤って決定された可能性が示唆された。そこで、提出構造式のC26エピマーを改訂構造式とし、これを全合成した。その結果、合成品と天然物の、旋光度を含めた各種スペクトルデータが完全に一致した。以上により、ブレベナールの全合成、構造改訂ならびに絶対立体配置の決定に成功した。さらに、本天然物およびその構造類縁体の量的供給を実現すべく、より効率的な第二世代全合成研究を行った。 また、本年度は抗真菌活性ポリエーテル天然物ガンビエル酸の全合成研究に着手した。まず、非環状部分構造を含むAB環部フラグメントの収束的合成を、アルデヒド-アセチリドカップリング反応とジアステレオ選択的ブロモエーテル化を鍵工程として達成した。
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Research Products
(9 results)