2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市水循環システムにおける病原微生物によるヒトへの健康リスクの評価
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05J04617
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
真砂 佳史 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | クリプトスポリジウム / 遺伝子解析 / DGGE / 河川底泥 / 定量PCR / 健康リスク評価 |
Research Abstract |
本研究は、水循環システムにおけるクリプトスポリジウムの挙動解明を目的としている。本年度行った、海外における事例調査や文献調査により、河川水中のクリプトスポリジウム濃度は、河川底泥により何らかの影響を受けていることが考えられた。そこで、河川水中および河川底泥中のクリプトスポリジウムの挙動について、以下の仮説を立てた。 河川水中のクリプトスポリジウムは、主に畜産排水や下水処理水に由来する。その多くは直接流下して河口に到達するものの、一部は沈降して底泥中、主にその表面に蓄積する。そして、降雨による流量増加時に、底泥の巻き上げと共に河川水中に再懸濁し、河川水中の存在濃度を押し上げる要因となる。 本年度は、上記仮説を検証するための準備期間と位置づけ、水中および底泥中のクリプトスポリジウムの検出方法を開発し、さらに現場調査の選定ならびに予備調査を行った。 1、クリプトスポリジウムの種・遺伝子型の判別手法の開発 クリプトスポリジウムの種・遺伝子型の類別に、分子生物学的手法であるDGGE法を初めて適用した。9種の純株DNAを用いた評価により、本手法は、同一試料に複数種のDNAが混在していてもそれを類別できることや、試料中に未知の種が含まれる場合でも、それを見分けられることが示された。これらの特徴は、環境水を対象とした手法として、特に優れていると言える。 2、高木川水系における現地調査(予備調査) 次年度より行う本調査の予備調査として、高木川下流域、および松島湾にて底泥試料を採取し、クリプトスポリジウムの定量を行った。その結果、一部の底泥中から、河川水中と比較して高い濃度でクリプトスポリジウムが検出された。これは、先の仮説を裏付ける証拠となると考えられた。
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Research Products
(2 results)