2006 Fiscal Year Annual Research Report
一元論的自然主義と多元論的自然主義の現代的意義と可能性についての検討
Project/Area Number |
05J04636
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井頭 昌彦 東北大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自然主義 / 一元論 / 多元論 / 物理主義 |
Research Abstract |
自然主義という立場が現代哲学における論争の焦点になるきっかけを与えたクワインの自然主義論を詳細に検討した。その結果、少なくとも現代における「自然主義」という立場は、その論拠や導出経緯からして、不可謬的な足場のもとで認識を基礎づける「第一哲学」を否定するものとしてのみ特徴づけられるものであり、物理主義や科学主義は必ずしも含意されない、という結論に至った。また、物理主義や科学主義にはこれまで多くの問題が指摘されていることから、自然主義をとりつつそういった問題を回避するための別の選択肢としての「多元論的自然主義」という立場の可能性を示した(ここまでの研究成果は日本哲学会第65回大会において「<最小限の自然主義)と多元論的自然主義の可能性」というタイトルのもとで発表されている)。 また、この多元論的自然主義の立場を具体的に構築していくための一つの方策として、本研究では前年度より引き続きカルナップ的多元論の維持可能性について検討を重ね、自然主義というベースを残したままカルナップ哲学に見られるような多元論を取り入れる方向性に見込みがあることを確認した(この研究成果は「<分析性>は理解不可能な概念なのか?」というタイトルの論文として『哲学』第58号に掲載が決定している。また、更なる研究成果が「プラグマティック・コンヴェンショナリズムの擁護」というタイトルのもとで2006年度哲学若手研究者フォーラムにおいて発表されている。)
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Research Products
(1 results)