2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J04642
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 耕太 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | インド / ヴェーダ / 古インドアーリヤ語 / 語根重複 / 印欧語比較言語学 |
Research Abstract |
古インドアーリヤ語の最古層であるVeda語の動詞組織における,重複現在語幹の形態と機能とを,実際の用例箇所の網羅的調査に基づいて解明する事が本研究の目的である。今年度の課題は,幹母音を伴わない重複現在語幹の中,特に重複母音-a-で語根重複するグループ(-a- reduplizierte athematische Prasentia)に関する精密な調査・検証を行い,同化作用の影響を被っていない-a-(<^*-e-)による語根重複を研究することにより,重複現在語幹形成の形態論的特徴に関して一定の標準を得るとともに,同様に*-e-で語根重複する完了語幹及び重複アオリスト語幹との関係を考察する事,そしてこれに引き続き,語根内部の共鳴音^*uによる同化作用を経たことが明白である,-u-で語根重複するグループ(-u- reduplizierte athematische Prasentia)を調査・検証し,語根重複における同化作用の音韻論的な傾向を把握する事であった。 実際に調査を進める過程で,用例箇所における語形の確定の為に,Veda語のシンタクス及びテクストの背景にあるVedaの宗教への理解を更に深化させる必要性が判明し,後藤敏文教授の演習への参加,多岐に亘る資料・研究書・論文の蒐集,学会に参加しての情報交換等を通じて,インド文献学における最新の研究成果の吸収に努めた。 また,動詞における重複現在語幹の機能を正確に位置付ける為には,語根重複を伴わない他の動詞語形に関しても可能な限り詳細な調査を行い,対象となる各動詞の活用語形の資料集を整備していく事が研究作業の基礎を確固たらしめるとの見解に達し,計画を若干修正して,重複母音-a-で語根重複するグループの動詞の精密な資料集作成に専念した。
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