2005 Fiscal Year Annual Research Report
台湾における日本植民地教育史の研究-国語教科書の比較分析を中心に-
Project/Area Number |
05J04650
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陳 虹ブン 東北大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 植民地教育 / 台湾 / 国語教科書 / 国語教育 / 教科書研究 |
Research Abstract |
(1)「日本統治下台湾における初等学校国語教科書の考察-1937年以降台湾人生徒用国語教科書に着目して」:1937年戦時期の植民地台湾に使われる最後の二期の国語教科書を中心に分析を行い、教科書編纂に関わる政策方針の転換や編修官の編纂理念、社会的要素などの面から、教科書を通して表れた変化や意義を明らかにした。1937年以降の台湾人用国語教科書においては、台湾における国語研究の進歩を受け、基本的に初学年の部分は学習理論に沿って編纂され、台湾の独自な教材を取り入れたが、戦争の影響で中高学年は国家の必要を優先し、教材の構成も国民精神や軍事教材などに偏う傾向が見られる。 (2)「台湾総督府編修官加藤春城と国語教科書」:1925年から台湾総督府編修官になり、1938年編修課課長に昇進した加藤春城は、1937年以降の台湾国語教科書に最も大きな影響を与えた人物である。加藤が手がけた国語読本は植民地で使う総合日本語教科書から全面的に皇国調へ変換する通過点で現れたものとなった。本論文は彼の教科書編纂理念とその形成ルートを追及し、実際の国語教科書と対照しながら、その具体的な影響を明らかにした。 (3)「日本統治下台湾における国語講習所用国語教科書の研究-台湾教育会の『新国語教本』に着目して-」:本稿は、昭和期の未就学の台湾人青少年を対象とする国語講習所(社会教育)に注目し、台湾教育会が発行した講習所用の『新国語教本』の分析を通して、各時期に「地方的特異性」、「総督府の政策方針」、「編修者の理念」、「台湾民衆の意向」等四つの要素がそれぞれどのような働きを果たしたのか、各時期においての消長は如何に『新国語教本』に変化を与えたことなどを明らかにした。
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Research Products
(3 results)