2006 Fiscal Year Annual Research Report
台湾における日本植民地教育史の研究-国語教科書の比較分析を中心に-
Project/Area Number |
05J04650
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陳 虹ブン 東北大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 植民地教育 / 台湾 / 国語教科書 / 国語教育 / 教科書研究 / 台湾教育会 / 戦後台湾教育 |
Research Abstract |
(1)「終戦直後(1945-1946)台湾の国語教科書に関する一考察-国民学校・中等学校の暫用国語教科書に着目して-」:この研究により、終戦後中国政府によって最初に編纂された台湾の国民学校と中等学校暫用「国語」教科書に関する事情が初めて明らかとなった。暫用国語教科書の使用期間は1946年2月から8月までとわずか半年間であったが、統治者の政治的意図や目的が教材を通してストレートに表現されている。暫用教科書の編纂事情の解明を通して、終戦直後の台湾の国語教育の実施、教科書の編纂をより詳しく追究することが出来た。さらに、中国政府がこの半年間に見せた国語教育方針の変更や、方法上の変化などには、台湾における台湾語・中国語・日本語などの複雑な言語使用の実際状況が反映されていることもあきらかとなった。 (2)「日本統治下台湾における「国語」という教科の成立と伊沢修二」:本研究は伊沢修二による台湾での「国語」科設置の提起とその構想の内容を明らかにし、「国語」が公学校の一科目として成立するまでの過程とその教科内容を解明した。また、伊沢による最初の「国語」科設置の提案の中身は、植民地統治を前提とする日本語の習得による同化教育であり、日本国民意識を養うことが目的であった。1896(明治29)年に伊沢が示した「国家的思想の発達」を前提とする「国語」の捉え方は、同時期に本土で発展しつつあった「国語」の理念よりも、「国家的思想」を先取りした主張だったことも明らかとなった。 (3)「日本植民地統治下の台湾教育会に関する歴史的研究」:本研究においては、台湾教育会自体の運営や教育事業の遂行などの実態を解明することにより、台湾教育会は主に総督府が支配する学租財団による経費の補助金を受け、総督府の補助役として、様々な教育活動や教育事業を遂行してきたことを明らかにした。
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Research Products
(3 results)