2005 Fiscal Year Annual Research Report
マントル鉱物の拡散特性とマントルおよび沈み込むプレートのダイナミクスへの応用
Project/Area Number |
05J04678
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下宿 彰 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マントル遷移層 / リングウッダイト / 拡散 |
Research Abstract |
結晶の変形をコントロールしているのは,その結晶中で最も拡散速度の遅い原子である。これまで地殻や上部マントルを構成するケイ酸塩鉱物の拡散実験の結果によれば,最も拡散速度の遅い原子はシリコンであることが明らかにされている。そのため,結晶中のシリコンの拡散速度から結晶の変形速度の推定が可能である。研究代表者はこれまでのところマントル遷移層の流動特性に関する考察を行うため,マントル遷移層の主要構成鉱物である(Mg, Fe)_2SiO_4リングウッダイト中で変形を律速していると考えられるシリコンの拡散速度を明らかにする研究を行っている。実験はマントル遷移層に相当する圧力発生が可能な川井型高圧発生装置を用いて行った。まず出発物質となるリングウッダイトを,20万気圧,1200から1500℃の条件でオリビン粉末から合成した。合成したリングウッダイト中の含水量と粒径をそれぞれフーリエ変換型赤外分光光度計と走査型電子顕微鏡を用いて測定をした。それらのリングウッダイト表面に真空蒸着装置を用いて拡散源となる^<29>SiO_2を蒸着し,再度20万気圧,1200から1500℃の条件下で加熱を行い^<29>Siの濃度プロファイルを二次イオン質量分析計を用いて測定した。その結果,リングウッダイトと^<29>SiO_2の境界部に反応相が形成されていることがわかり,リングウッダイト中のシリコンの拡散係数の測定が困難であった。原因としてリングウッダイトとSiO_2が共存する温度圧力条件が,これまで報告されていた安定領域から想定したよりも狭かったことが考えられる。上記の問題点を解決するために拡散源として(Mg, Fe)_2^<29>Si^<18>O_4を使用し,レーザアブレーション法により蒸着を行った。
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