2006 Fiscal Year Annual Research Report
衛星観測による雷・雷雲と高高度発光現象のグローバルな電気的結合の解明
Project/Area Number |
05J04713
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
足立 透 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | スプライト / エルブス / ヘイロー / 巨大ジェット / 雷放電 / FORMOSAT-2 / ISUAL / ELF |
Research Abstract |
スプライト内部における電気力学過程を明らかにするため、新規開発したアレイフォトメータによって観測された発光の青/赤比を用いて、電場強度の時空間変化を推定した。得られた電場強度は約75kmに明瞭な遷移を有しており、スプライト上部の構造が見られないヘイロー領域から下部の微細構造が見られるストリーマ領域への形態遷移高度に対応する事が明らかになった。ヘイロー領域における電場強度は絶縁破壊電場強度(E_k)の0.6-0.8倍の値であった。これは、大気分子がイオン化を伴わずに励起・発光する事が可能であるという理論予測を支持する結果である。その一方で、ストリーマ領域における電場強度は1-2E_kの値となり、強いイオン化が起こっている事が確かめられた。しかしながら、単体のストリーマを扱ったモデルの予測値に比べると数倍程度小さい値であり、理論値と観測値に相違が認められた。これらの相違は、スプライトの内部に存在する上方分岐構造の下部領域やビーズ構造といった、長期間持続する発光構造に起因すると結論付けられた。 また、スプライトと雷放電の電気的結合関係を明らかにするため、アレイフォトメータによって得られた光学データとELF帯の磁場強度データを用いて、雷の電荷モーメントの時間変化を推定した。時定数(電流モーメントの半値全幅)が約1msと短い場合、約400C-kmの中規模な電荷モーメントを有する雷放電はヘイローのみを誘起するのに対し、約1000C-kmの大規模な電荷モーメントを有する雷放電は、ヘイローに加えてストリーマも誘起する事が明らかになった。その一方で、時定数が約10msと比較的長く、また約1000C-kmの大規模な電荷モーメントを有する雷放電は、ストリーマのみを誘起する事が明らかになった。得られた結果は、ストリーマの発生に不可欠な時間変化しない絶縁破壊電場強度と、ヘイローの発生に必要な時間と共に増加する臨界電場強度を用いて解釈される事が明らかになった。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Electric field transition between the diffuse and streamer regions of sprites estimated from ISUAL/array photometer measurements2006
Author(s)
Adachi, T, H.Fukunishi, Y.Takahashi, T.Hiraki, R.-R.Hsu, H.T.Su, A.B.Chen, S.B.Mende, H.U.Frey, L.C.Lee
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Journal Title
Geophysical Research Letters 33
Pages: doi:10.1029/2006GL026495