2005 Fiscal Year Annual Research Report
家庭用燃料電池における高効率水素製造のための高性能酸素透過性セラミックスの開発
Project/Area Number |
05J04726
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
四十住 祐介 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸素イオン・電子混合導電体 / 酸素透過性セラミックス / 表面交換反応 / EMF測定 / 酸素透過速度 |
Research Abstract |
本研究により開発されたLa_<0.5>Ba_<0.3>Sr_<0.2>Fe_<0.6>In_<0.4>O_<3-δ>は1000℃、Ar-10%CH_4において10.8μmol/cm^2・sという世界最高水準の酸素透過速度を示す酸素透過性セラミックスである。この混合導電体を含め多くの酸素透過性セラミックスでは表面交換反応が酸素透過速度を律速しており、その緩和が更なる酸素透過速度向上に必要不可欠である。そこで、本研究ではEMF測定法を用い透過膜表面における酸素ポテンシャル勾配を測定することにより、表面交換反応の基本的な物性について調査した。透過膜表面における酸素ポテンシャル勾配は多孔質酸素センサー(Porous Oxygen Sensor, POS)を用い測定した。その結果、供給側ではPOSによるEMFがぼぼ0に近いことから、酸素ポテンシャル勾配はほとんど無いことが判明した。一方、透過側の表面では供給側の10倍以上大きいEMFが観測され、供給側における酸素ポテンシャルドロップは大きいことが分かった。このことから、酸素透過速度は透過側表面に強く律速されていることが判明した。さらに、透過膜自体に生じるEMFを測定したところその値は理論値よりも小さく、1/10〜1/3程度の値にとどまることが分かった。この様に測定値と理論値に差が生じる原因としては、透過側表面におけるH_2ガスのイオン化を初めとするO^<2->とH_2の複雑な反応経路や、透過膜中におけるFe^<3+>がFe^<2+>となる還元反応などが酸素ポテンシャルとは逆方向の起電力を発生させ、その結果測定されたEMFが見かけ上小さくなったのでは無いかと考えられる。以上のことから、透過側における透過膜の還元や反応が酸素透過速度を律速していると推察され、この実験結果は酸素透過膜における表面交換反応律速を緩和するための新たな指針をたてる手がかりになると考えられる。
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Research Products
(1 results)