2005 Fiscal Year Annual Research Report
ホイスラー合金と酸化マグネシウムを用いた高磁気抵抗合トンネル接合の探策
Project/Area Number |
05J04733
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桜庭 裕弥 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 強磁性トンネル接合 / ハーフメタル / ホイスラー合金 / スピン分極率 / トンネル磁気抵抗効果 / エピタキシャル薄膜 |
Research Abstract |
Cr下地層を用いることによって、MgO基板上に結晶性・平坦性ともに良好なホイスラー合金(Co_2MnAl,Co_2MnSi)エピタキシャル薄膜を作製する手法を確立した。特にCo_2MnSi薄膜においては最も高いサイト規則状態であるL2_1構造が得られ、組成比もほぼCo:Mn:Si=2:1:1と非常に良質な薄膜を作製することができた。これらを下部電極としてCo_2MnZ(Z=Al, Si)/Al-O/CoFe構造の強磁性トンネル接合(MTJ)を作製した結果、Co_2MnAlにおいては室温65%,低温83%,Co_2MnSiにおいては室温69%,低温159%という大きなトンネル磁気抵抗効果(TMR効果)を観測することに成功した。これらのTMR比よりCo_2MnSiにおける低温でのスピン分極率はおよそ90%と見積もられ、Co_2MnSiが理論的予測通りハーフメタリックな性質を有することを世界で初めて証明した。さらに、上部電極にもCo_2MnSiを成膜したCo_2MnSi/Al-O/Co_2MnSi構造のMTJを作製したところ、低温において570%という極めて大きなTMR比を得ることに成功した。このTMR比はAl-Oトンネル障壁層を用いたMTJとして世界最高の値であり、現在主流であるMgOトンネル障壁層を用いた系にも匹敵する結果である。また、このMTJにおいてトンネルコンダクタンスの印加電圧依存性を測定した結果, Co_2MnSiのハーフメタル性を反映したエネルギーギャップを観測することに成功している。
|
Research Products
(4 results)