2006 Fiscal Year Annual Research Report
ホイスラー合金と酸化マグネシウムを用いた高磁気抵抗合トンネル接合の探策
Project/Area Number |
05J04733
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桜庭 裕弥 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 強磁性トンネル接合 / ハーフメタル / ホイスラー合金 / スピン分極率 / トンネル磁気抵抗効果 |
Research Abstract |
スピントロニクスデバイスの性能向上の上で最も重要な要素の1つが強磁性材料の持つスピン分極率である。スピン分極率(P)とはフェルミ準位E_Fにおけるupとdownスピンの状態密度の差(D_↑・D_↓)/(D_↑+D_↓)で定義される物質固有の物理量である。例えば、強磁性トンネル接合(MTJ)においては、強磁性電極の、Pが大きいほど大きな磁気抵抗比(TMR比)が得られ、素子の高出力化が期待される。本研究では理論的にハーフメタル(P=1)と予測される材料であるフルホイスラー合金Co_2MnSiに注目、強磁性トンネル接合の電極として用いることにより、巨大TMR比の実現とその特性解明を目的に研究を行ってきた。その結果、以下に示すような重要な成果を残している。 1 世界に先駆けてCo_2MnSiのハーフメタル性を実証し、世界最高レベルのTMR比を実現 MgO単結晶基板上に極めて良質なCo_2MnSiエピタキシャル膜を作製することに成功、これを電極としたMTJを作製した。Co_2MnSi/Al-O/Co_2MnSi構造のMTJにおいては低温2Kにおいて570%という現在世界最高レベルの値のTMR比を得、またCo_2MnSi/Al-O界面にMgを挿入層として用いることによりCo_2MnSiのスピン分極率としてほぼ1、すなわちハーフメタルとしてのほぼ理想的なスピン分極状態を実現することに成功した。 2 Co_2MnSiのハーフメタリックな電子構造を明瞭に観測 上記MTJにおけるトンネルコンダクタンスのバイアス電圧依存性によりCo_2MnSiのエネルギーギャップを明瞭に観測することに成功した。このようにハーフメタルの電子構造を明瞭に観測した例は過去に報告されておらず、極めて重要な成果といえる。
|
Research Products
(5 results)