2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタルフルホイスラー合金薄膜の構造と微小強磁性トンネル接合の磁気抵抗効果
Project/Area Number |
05J04756
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡村 進 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フルホイスラー合金 / 強磁性トンネル接合 / 薄膜 / B2構造 / ハーフメタル |
Research Abstract |
Co基フルホイスラー合金には、一方のスピンバンドにエネルギーギャップを有する特殊なバンド構造のハーフメタル(HM)が数多く理論計算で報告されている。HMはスピン注入やトンネル磁気抵抗比(TMR)のさらなる高品位化において不可欠な材料であり、精力的に研究されている。後者のTMR増大のためには、二つの異なるプロセスが取られできた。一つが前に述べたHMであり、もう一つがFe/MgO/Feのような単結晶(高配向)強磁性トンネル接合(MTJ)におけるコヒーレントトンネリングを用いた方法である。そこで本研究では、Feのアップスピンのバンド構造と似たバンドを有するCo基フルホイスラー合金(Co_2FeAl(CFA)、Co_2FeSi(CFS))とMgOバリアを同時に用いて、コヒーレントトンネリングに基づくTMR発現と、バイアス電圧依存からそのトンネル伝導について明らかにすることを目指した。 フルホイスラー合金はどちらも熱酸化膜付Si基板上にMgOバッファーを用いることで001高配向が、単結晶Si基板上にCoFeバッファーを用いることで110の高配向が得られることが明らかになった。またこれらの薄膜はアズデポでもB2構造かL2_1構造を有していた。これらの下部磁性電極を有するMTJでは、MgOバリアの作製条件を探索することで、室温でCFAは最大45%、CFSでは80%を得ることに成功した。また、TMRのバイアス電圧依存性が-2V〜2Vの範囲で常に正であった。同装置で作製したAl-O_xバリアを有するMTJ(CFS)では、室温で30%程度と小さいことと、TMRがある電圧から負になることから、全く異なる挙動を示していることがわかる。通常拡散的な伝導の場合、電極の方位によらずTMRのバイアス依存は似た挙動を示すことから、今回のホイスラー/MgOのMTJはコヒーレントトンネルに基づくTMR発現と考えられる。
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