2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ金属を含む新規3元マグネシウム系水素化物の創製と複合機能化
Project/Area Number |
05J04775
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 一貴 東北大学, 金属材料研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ペロブスカイト / 水素化物 / 水素 / 水素化特性 / ミリング / 原子・電子構造 / 元素置換 / 高輝度X線回析 |
Research Abstract |
ペロブスカイト構造を有する「マグネシウム-ナトリウム-リチウム系水素化物」や「カルシウム-遷移金属系水素化物」などに関する研究を遂行した。本年度は、これらを合成することによりペロブスカイト水素化物の生成可能な組成領域を実証するとともに、高輝度X線回折測定によって詳細な原子・電子構造を明らかにした。また、ペロブスカイト水素化物の構造と脱水素化過程との相関を実験的に解明した。主な成果を以下に示す。 1)当該水素化物は水素雰囲気中のミリング処理のみによって合成できた。その結果、ペロブスカイト水素化物の生成可能な組成領域が構成元素のイオン半径などによる幾何学的条件によって説明できることを明らかにした。これは新たなペロブスカイト水素化物を合成する重要な指針であり、元素置換効果の実験的解明に不可欠な知見である。 2)マグネシウム-ナトリウム-リチウム系のペロブスカイト水素化物において、2種類の占有サイトに存在する水素陰イオンが、金属陽イオンとそれぞれ異なる結合の強さを有することを明らかにした。これは水素の内在する不均一性を示唆しており、2段階で進行する水素放出反応の反応過程にも影響しているものと考えられる。 3)カルシウム-遷移金属系のペロブスカイト水素化物において、カルシウムはほぼ2価の陽イオンとして存在しているが、ニッケルと水素の電子密度分布は一部重なっており、イオン結合性と共有結合性の中間的な結合性であることを明らかした。これは、昇温過程において示唆される、水素の結合性が連続的に遷移することと密接に関連している。 その他、カルシウム-遷移金属系のペロブスカイト水素化物においては、電気伝導性や磁性などに関する評価も進め、水素化物の新しい機能の発現に対して重要な知見を得た。
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Research Products
(4 results)