2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子間力を正確に採り入れた第一原理計算によるテラヘルツ周波数領域の物性解明
Project/Area Number |
05J04778
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斎藤 繁喜 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | テラヘルツ物性 / 第一原理計算 / フォノン / 基準振動計算 / テラヘルツ・遠赤外分光 / レーザー工学 / 結晶工学 / 非線形光学 |
Research Abstract |
第一原理計算を用いて,生体分子や分子性結晶が示す低波数振動モードの精密な解析と新テラヘルツ光源材料の設計を進めてきた.今年度から2年間の研究計画で,今年度は次に列挙する成果を得た. 1.結晶粉末を試料とするテラヘルツスペクトルの理論解析のため,結晶フォノンモードの周波数および固有ベクトルを計算するプログラムを作成した.このプログラムでは結晶の周期的なエネルギー表面を密度汎関数法より求める.また任意の対称性展開や,効率的な計算量分散により,柔軟かつ高効率なフォノン計算が可能である.固有振動モードの視覚化機能も実装され,テラヘルツスペクトル中のフォノンモード同定を実現した. 2.独自のフォノン計算プログラム(上記1)を用いて,安息香酸,サリチル酸,グルコース,ラクトースの各結晶のテラヘルツフォノンを計算した.単分子系によるテラヘルツ振動計算において課題であった結晶内分子形状や分子間相関の影響などが大きく改善され,計算されたモード周波数は,テラヘルツスペクトルの吸収ピークとよく一致した.またこれらのフォノンモードの固有ベクトルを視覚化し,テラヘルツフォノンの振動形態を明らかにした. 3.新テラヘルツ光源材料の設計のため,スチルバゾリウム系分子の超分極率の第一原理計算を共同研究者のInerbaev博士とともに進めてきた.その結果,超分極率計算において溶媒効果が極めて大きく影響することが確認された.また新たに金属錯体原子を加えた安定でかつ高い超分極率をもつ分子種が計算設計された. 2年間の研究計画と比べて,分子間力補正コードの作製がやや遅れているが,テラヘルツ振動解析は共同研究者との連携のために先に進められた.
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Research Products
(2 results)