2005 Fiscal Year Annual Research Report
安定な高周期14族元素集積二重結合化合物の合成と反応
Project/Area Number |
05J04801
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
増田 英紀 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トリゲルマアレン / ジゲルマビニリデン / ゲルマニウム多重結合種 / ゲルマニウム二価化学種 / 有機ゲルマニウム化合物 / 累積二重結合種 |
Research Abstract |
高周期14族元素多重結合化学種は通常は容易に多量化を起こす不安定中間体である。これらの多重結合化学種を安定に合成するためには嵩高い置換基による立体保護が必要である。研究代表者は以前嵩高い置換基により安定化されたトリゲルマアレンR_2Ge=Ge=GeR_2(1,R_2=1,1,4,4-テトラキス(トリメチルシリル)ブタン-1,4-ジイル基)の合成に成功しているが、本年度はこれを利用して新規な不飽和化合物へ誘導することを試みた。トリゲルマアレン1への14族元素二価化学種の付加反応によるトリメチレンメタンのゲルマニウム類縁体合成の試みでは目的のトリメチレンメタン類縁体は得られなかったが、興味深い知見が得られた。 トリゲルマアレン1と溶液中、安定なゲルミレンDis_2Ge:(2,Dis=ビス(トリメチルシリル)メチル基)との反応を行った。その結果、ゲルミレン2とR_2Ge:(3)が交換したトリゲルマアレンDis_2Ge=Ge=GeDis_2(4)を生成することが各種NMRおよび水による捕捉から明らかになった。この結果は1のGe=Ge二重結合の切断により、ジゲルマビニリデンR_2Ge=Ge(5)が生成することを示唆している。1が容易にGe=Ge二重結合の切断を起こす理由について理論計算により考察した。その結果、トリゲルマアレンの二重結合解離エネルギーは孤立Ge=Ge二重結合種(ジゲルメン)と同程度であり、嵩高いアルキル置換基を持つジゲルメンが容易に解離するのと同様にトリゲルマアレン1の場合も二重結合解離を起こしたと考えられる。トリゲルマアレン1は容易に二重結合が解離して新規なゲルマニウム二価化学種であるジゲルマビニリデンが生成することを見出した。
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