2005 Fiscal Year Annual Research Report
π電子親和型ルイス酸触媒による分子内芳香環化反応及びポリアセン化合物合成法の開発
Project/Area Number |
05J04805
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 健一郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 環状炭化水素化合物 / ルイス酸 / 金触媒 / ピリリウムカチオン中間体 / 分子内[4+2]芳香環化反応 / (+)-オクロマイシノン |
Research Abstract |
ポリ環状生理活性化合物の合成において、環状炭化水素化合物は有用な出発物質として多く用いられている。一般的な合成法としてはFriedel-Craftsタイプの反応が知られているが、幾何異性体を生じる事が少なくない。今回、私は当研究室で開発したルイス酸触媒による芳香環化反応を応用して、一挙に2つの環を巻く3環性化合物の合成に成功した。 1,2-ジクロロエタン中、ジインケトン、ジインアルデヒドの2種類の基質に対して金触媒を用いて反応を行ったところ、それぞれ対応するα位にケトン部位を有する3環性ナフタレン化合物が高収率で得られた。これらの生成物はどちらもルイス酸がアセチレンを活性化し、隣接するカルボニル酸素の攻撃により生成するピリリウムカチオン中間体を経由し、分子内のもう一つのアセチレン部位と分子内[4+2]型芳香環化反応によって得られたと考えられる。 また、本反応の生成物の骨格は生理活性を有するタンシノン類やアングサイクリン類といった天然物に多く見られる。そこで、本反応を鍵反応とした(+)-オクロマイシノン、及びルビジノンB2の全合成について検討した。オクロマイシノンは近年、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因菌とされるヘリコバクター・ピロリ菌に対する選択的活性を示すことが報告されるなど、注目されている。 まず初めに既知化合物であるブロモナフトキノンを出発原料としてジインホルミルナフタレン誘導体を合成した。この基質に対して金触媒を用いた分子内[4+2]芳香環化反応を行ったところ、高収率で目的のアントラセン誘導体が得られた。続いて脱保護を行い、(+)-ルビジノンB2及び(+)-オクロマイシノンの全合成に成功した。
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Research Products
(2 results)