2006 Fiscal Year Annual Research Report
π電子親和型ルイス酸触媒による分子内芳香環化反応及びポリアセン化合物合成法の開発
Project/Area Number |
05J04805
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 健一郎 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炭素親和性ルイス酸 / [4+2]芳香環化反応 / 金触媒 / ピリリウムカチオン中間体 / ベンザイン / アントラセン / ポリアセン系化合物 |
Research Abstract |
近年、当研究室では炭素親和性ルイス酸触媒を用いた分子内閉環反応を鍵とする[4+2]型芳香環化反応の研究を精力的に行っている。これまで、オルトアルキニルオキソベンゼンと種々のアルキン、エノールエーテル、アルデヒドを2π電子系化合物として反応させることによりα位にカルボニル基を有するナフタレン化合物が高収率で得られることを報告している。そこで、今回私はこの反応系の詳細な検討を行ったところ、2π電子系化合物として新たにベンザインが有用であることを見出した。金触媒存在下、ジクロロエタン溶媒中、オルトアルキニルオキソベンゼンにベンザイン前駆体としてジアゾニウムベンゼンカルボキシレートを混ぜて40度で撹拌すると、一挙にアントラセン誘導体の合成に成功した。本反応機構は、金触媒がオルトアルキニルオキソベンゼンのアルキン部位を活性化し、続いて、隣接するカルボニル酸素の求核攻撃によってベンゾピリリウム中間体を形成する。これが4π電子系化合物として働き、系中で発生したベンザインと[4+2]型芳香環化反応が進行し生成物が得られると考えられる。このように、反応系中でベンゾピリリウム中間体のような4π系を構築し、不安定なベンザインとの環化付加反応の報告例はほとんど無く、興味深い結果であると考える。 また、有機EL材料などに応用が期待されているポリアセン系化合物の新規合成法への応用を試みた。種々検討した結果、金触媒存在下、オルトアルキニルオキソナフタレン化合物とベンザインを反応させたところ、低収率であるが目的のテトラセン誘導体の合成に成功した。今後のポリアセン化合物合成の足がかりになることを期待する。
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Research Products
(1 results)