2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J04812
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大原 祥平 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タンパク質 / ペプチド / アミノ酸 / 地下深部 / 高温高圧 / オートクレーブ / HPLC / LC-MS |
Research Abstract |
初期地球環境において最初の生命が誕生するためには、アミノ酸などの簡単な物質からタンパク質などの複雑な高分子が生成するプロセスが必要である。これまでに行われてきた「初期地球の海洋環境を模擬した室内実験」では、アミノ酸の3量体ペプチドの生成までにしか至っていない。本研究では初期地球におけるタンパク質生成のプロセスが、アミノ酸の重合反応に適した高温・高圧かつ触媒となるさまざまな鉱物の存在するドライな「地下深部」において進行したと仮説付け、高温高圧下でのアミノ酸からのペプチド合成をこれまでのような水溶液中ではなく固体状態のもとで試みた。 実験では固体状のアミノ酸を金カプセルに封入し、テスト型オートクレープで高温高圧を発生させることにより重合反応を行った。回収後の試料を高速液体クロマトグラフ分析装置(HPLC)で定性・定量分析したところ、アミノ酸の6量体ペプチドまでの生成が確認された。またそれぞれのペプチドの収率は、合成時間にともない指数関数的に増加した。7量体以上の高分子ペプチドの定性分析はHPLCでは不可能なため、さらに液体クロマトグラフ-質量分析装置(LC-MS)を用いて分析したところ、最大で9量体までのアミノ酸ペプチドの生成が明らかとなった。これらの成果の一部はアメリカ地球物理学会において公表し、外国旅費はこのために用いられた。 以上のように、本研究では生体高分子であるタンパク質(10量体以上)に限りなく迫る高分子ペプチドの合成に成功した。これは「初期地球環境におけるタンパク質生成は海洋中において進行した」とするこれまでの常識を覆すことになり、「生命の起源」のみならず他分野に渡って非常にインパクトのある成果であると言える。
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