2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞毒性ポリエーテル分子の多様性指向型全合成と活性発現構造の解明
Project/Area Number |
05J04831
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚野 千尋 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ギムノシン-A / ポリ環状エーテル / 鈴木-宮浦カップリング反応 / 細胞毒性 / 構造活性相関 / 全合成 |
Research Abstract |
本研究では、多様な生物活性を有する梯子状ポリ環状エーテル化合物の中より強力な細胞毒性を有するギムノシン類を取り上げ、効率的かつ迅速な構造類縁体の合成と詳細な構造活性相関によりその生物活性発現に要求される構造要因を明らかにすることを目的とする。本年度は主として以下の二点を達成した。 1. ギムノシン-Aは複雑で巨大分子構造を持つために化学修飾による誘導化が困難であり、微量の天然物を用いた詳細な構造活性相関研究はほとんど行われていなかった。昨年度、ギムノシン-Aの細胞毒性発現にはエーテル環縮環構造の長さが重要であることを明らかにした。今回はギムノシン-Aの側鎖に焦点を当て、14環性梯子状ポリエーテル骨格を有した各種構造類縁体を全合成の中間体より合成した。ギムノシン-Aと側鎖の構造類縁体のEC_<50>値を比較することにより、細胞毒性を発現するためには、側鎖に共役不飽和アルデヒド構造が必要であることを明らかにした。 2. ギムノシン-Bはギムノシン-Aと同等の細胞毒性を有する15環性梯子状ポリ環状エーテルである。ギムノシン-BのNO環部は7員環エーテル酸素を挟んで二つの核環メチル基を有しており、これは合成例のない構造であった。ギムノシン-Bの全合成に向けて、昨年度、NO環部ポリエーテル骨格を酸化的開環と閉環メタセシス反応を鍵反応として合成した。本年度はこの方法によりNO環部フラグメントを合成し、鈴木-宮浦カップリング反応を基盤とする収束的ポリエーテル骨格構築法を用いてLMNO環部の合成経路を確立した。
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Research Products
(2 results)