2005 Fiscal Year Annual Research Report
三次元培養を用いた細胞チップの開発と癌患者摘出細胞の評価への応用
Project/Area Number |
05J04833
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鳥澤 勇介 東北大学, 環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞チップ / 三次元培養 / 電気化学測定 / 分泌型アルカリフォスファターゼ |
Research Abstract |
三次元培養を用いた細胞チップの作製と電気化学的な細胞機能評価に関して検討を行った. 以下に項目ごとに概要を記す. 1、スフェロイド培養チップの作製と電気化学的細胞活性の評価 三次元培養技術であるスフェロイド培養は,球状の細胞塊を利用した培養手法であり,生体内類似の細胞機能を有する特徴から注目を集めている.しかしながら,細胞接着の阻害を要するためにアレイ化が困難であること,プローブ試薬の透過性が低いために活性評価が困難であること等の欠点がある.我々は,PDMS流路とシリコン基板からなるデバイスを作製することで,チップ上へのスフェロイドのアレイ化に成功した.さらに電気化学的評価法を用い,細胞の酸素消費量を評価することで,スフェロイドの活性変化を追跡可能なシステムの開発に成功した.本システムにより,2週間の細胞培養および機能評価が可能となった. 2、細胞外マトリクス(ECM)包埋培養を用いた細胞チップの作製と電気化学的細胞機能の評価 ECM包埋培養は,細胞の分化形質を保持可能であることが近年報告され,新規な培養システムとしての注目が集まっている.我々は,極微少量(20nL)でECM包埋培養が可能な細胞チップの開発に成功した.電気化学評価システムには,細胞の酸素消費量の定量的評価システムに加え,分泌型アルカリフォスファターゼ(SEAP)をレポーターとする遺伝子発現評価システムの構築に成功した.酸素消費量の定量評価の結果,細胞の分化形質に起因して細胞の代謝活動が異なっており,分化機能を評価可能であった.一方,SEAP発現評価の結果,細胞内のシグナル伝達に起因する遺伝子発現をモニタリング可能であった.両評価法共に電気化学手法であるため,電極電位を変えることで同時に評価可能であり,遺伝子発現と細胞活性を同時に追跡可能となる.
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