2005 Fiscal Year Annual Research Report
凝集阻害を誘因する藻類由来有機物質を不活性化する凝集促進剤の新たに開発
Project/Area Number |
05J04867
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高荒 智子 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Microcystis aeruginosa / 浄水処理 / 藻類由来有機物 / 凝集処理 / タンパク質 / 凝集剤 / ファージディスプレイ / アフィニティクロマトグラフィ |
Research Abstract |
水道水源としての役割を担う閉鎖性水域では,Microcystis aeruginosa (M.aeruginosa)などの微細藻類の増殖が発生している.この藻類増殖は,浄水処理の凝集沈殿処理プロセスにおける凝集阻害を引き起こして凝集剤注入率を著しく増加させることが報告されている.本研究では,凝集阻害の抜本的解決へ向けて凝集阻害誘因物質の阻害活性を失活させる凝集助剤の開発を目指している. 本年度の研究では,詳細な凝集阻害メカニズムを解明するため凝集阻害誘因物質の分離およびその同定を進めてきた.特に,藻類細胞の主成分であり,金属と高い親和性を持つ種類も報告されているタンパク質に着目した.M.aeruginosaが産生する雑多なタンパク質から凝集阻害誘因物質を大量かつ純粋に回収するため,M.aeruginosaゲノムを用いたファージディスプレイシステムを構築し,凝集剤として頻用されているPACに高い親和性を持つM.aeruginosa由来ペプチドを分離することを行った.そして,分離されたファージが有するDNA配列情報からアミノ酸配列を解読した結果,PACと親和性の高いペプチドにはセリンの含有率が高いことがわかった.これは,タンパク質の凝集阻害能は,含有するアミノ酸の構成に依存すると予想され,特に凝集剤への親和性にはヒドロキシル基を有するセリンが,特に強い可能性が示唆された.現時点では,セリンのヒドロキシル基が,加水分解途中の凝集剤に作用し加水分解の進行を妨害するためであることが予想している. 今後は無作為配列ペプチド提示ファージを用い,凝集阻害能を持つペプチドをリガンドとして用いたアフィニティクロマトグラフィを行うことで,凝集助剤に使用する凝集阻害誘因物質の補足ペプチドのアミノ酸配列を決定する予定である.
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Research Products
(1 results)