2006 Fiscal Year Annual Research Report
凝集阻害を誘因する藻類由来有機物質を不活性化する凝集促進剤の新たな開発
Project/Area Number |
05J04867
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高荒 智子 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 浄水処理 / 藻類 / 凝集阻害 / 有機物 / ファージディスプレイ |
Research Abstract |
本研究は,Microcysitis aeruginosa (M.aeruginosa)から産生される凝集阻害誘因物質に結合し,凝集阻害能を不活化させるための新規凝集促進剤の開発を目的としている.研究初年度では,凝集剤中のAlと錯体形成し,処理水中に残留する藻類由来有機物をPAC(Polyaluminum chloride)をリガンドに用いたアフィニティクロマトグラフィによって分離した.また,分離された有機物に対するタンパク質分析の結果,凝集阻害誘因タンパク質は,30-67kDaの分子量を有することが明らかとなった.研究最終年度である18年度においては,凝集阻害誘因タンパク質のアミノ酸配列の解析およびM.aeruginosa細胞に保持される親水性有機物の凝集阻害の特性評価を行うことで,凝集阻害メカニズムを示した. ファージディスプレイを用いた凝集阻害誘因タンパク質の精製およびアミノ酸配列の解析では,凝集阻害誘因タンパク質はセリンなどの親水性アミノ酸を多く含んでいることが確認された.また,M.aeruginosaの細胞内および細胞表面に保持される親水性有機物のうち,分子量10kDa以上,かつpH7において負に帯電する有機物が強い凝集阻害を示すことが明らかとなった.藻類由来有機物による凝集阻害に関しては,凝集プロセスの初期にタンパク質とAlとの錯体形成によって凝集阻害が発生し,親水性有機物とAl多核錯体との錯体形成および,不定形Al種への有機物の吸着によるフロック形成によって凝集阻害が生じることが明らかとなた.本研究を通じて得られた知見は,新規凝集促進剤の開発研究の発展を促す情報になると考えられる
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Research Products
(3 results)